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公害企業主呪殺祈祷僧団(羽永光利)

助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京 【芸術文化魅力創出助成】
協力:羽永光利プロジェクト実行委員会 羽永太朗|ぎゃらり壺中天|青山目黒
2023年9月29日(金)〜10月22日(日) 12:00-19:00 *金土日のみ開廊

12:00-19:00, 29 SEP - 22 OCT 2023

高度経済成長期、環境汚染を伴う公害が表面化し、イタイイタイ病や四日市ぜんそくなどの公害病が日本各地の住民を襲いました。1970年には、公害病の原因となっていた企業への抗議活動として、2名の仏僧を中心に呪殺祈祷僧団が結成されます。彼らは、抗争が続く全国の工業地帯へ行脚し、撃鼓唱題し、護摩祈祷の火を焚き、阿毘遮迦(アビチャールカ)と呼ばれる調伏の儀式を行いました。公害を引き起こす企業主を、死に至らしめるために——。

芸術、政治、宗教を縦断し、密教呪術の実践と思想に裏付けられた前衛的活動を展開した呪殺祈祷僧団(1970年-不明)は、公害がもたらした精神的・肉体的な苦難への復讐を目論み、急速に近代化する戦後社会の多岐にわたる不公正の実態を暴こうとしました。この行動は、近代の司法制度では不能犯と見做され訴追ができない「呪殺」という方法で挑んだ、企業家に対する「仏教的テロリズム」だったと言えるかもしれません。当時、日本社会の暗部で繰り広げられた出来事を追っていたドキュメンタリー写真家羽永光利(1933-1999年)は、こうした僧団の活動に共鳴し、自らも出家して僧団の一員となり、行脚を共にする中で300枚に及ぶルポルタージュ写真を残しています。

密教における調伏の儀式は、鎮護国家の名の下に古くは9世紀から体制側に利用されてきた歴史があります。呪殺の旗を掲げる一方で、僧団が公害に苦しむ村落を訪れ、被害者に捧げた祈りは、密教が辿ったそうした過去を転覆させ、宗教の力を権力者から困窮者の手に返すことを意図していました。同時に、当時、公害を階級問題に結びつけていたマルクス主義者や市民運動家とは距離をとり、その人間中心的な考えを批判します。それは、僧団が被害者に寄り添いつつも、草木も仏性を具えていて成仏するという草木成仏の考えを重視したからです。近代化以降の開発と資本の追求の結果、汚れていく大地に立ちつつ他生物と共存していく倒錯的で暗いエコロジーに共鳴するかのように、生命の因果関係を繋ぐ暗く奇妙なループを辿りながら、やがて、彼らの活動もアナーキーで前衛的な態度へと変容していきます。

本展タイトルは、長年、環境アクティビズムに身を捧げ、その後のグローバル環境主義を激しく糾弾するに至った著述家ポール・キングスノースによる同名の著作** を参照しています。数学者セオドア・カジンスキーに触発されて書かれたこのエッセーで、キングノースは自身の怒りに向き合い、進歩的な思想を退け、「エコジェノサイド」の現状を捉える方策を探っています。

香港Parasiteレジデンシーで2019年に実施した「呪いのマントラ」を基に構成された東京展では、呪殺祈祷僧団の一員だった真言宗僧侶 松下隆洪氏によるテキストと、羽永光利(1933-99年)のドキュメンタリー写真を合わせて展示いたします。

* 松下隆洪「公害企業主呪殺と敵討の復権」、『現代の眼』、現代評論社、1971年(2月号)
** Paul Kingsnorth, "Dark Ecology: Searching for Truth in a Post-green World", Orion Magazine, 2012. URL: https://orionmagazine.org/article/darkecology/.
Published on paper, in: Paul Kingsnorth, Confessions of a Recovering Environmentalist and Other Essays, Graywolf Press, 2017. 
羽永光利 (東京生まれ、1933-1999年) は、芸術、政治、社会の交差領域で活動するフォトジャーナリストであり、1960年代から80年代までの前衛芸術と学生運動の熱心な支持者。羽永作品は、『朝日グラフ』(1970年)や『LIFE』(1964年)などの影響力のある雑誌に掲載されているほか、展覧会やパフォーマンスの歴史的に貴重なドキュメンテーションとして近年再び注目を集め、ポンピドゥーセンター(パリ、1983年)、アジア文化センター(光州、2015年)、テートモダン(ロンドン、2015年)、国立近代美術館(東京、2018年)など、国内外で展示歴多数。

展覧会情報
タイトル: 『ダークエコロジー』
作家名: 公害企業主呪殺祈祷僧団(羽永光利)
会期: 2023年9月29日(金) - 10月22日(日)
会場 : アサクサ 東京都台東区西浅草1-6-16
開廊: 金・土・日 12:00〜19:00
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京【芸術文化魅力創出助成】
協力:羽永光利プロジェクト実行委員会、羽永太朗|ぎゃらり壺中天|青山目黒

関連企画
展覧会名:ASAKUSA-YOKOSUKA
アーティスト:アダム・カリル、ベイレイ・スワイツァー、 アントン・ヴィドクル、羽永光利他
会期:2023年9月16日(土) - 10月8日(日) 11:00-19:00
定休日:月・火・祝日
会場:TALION GALLERY 東京都豊島区目白2-2-1 B1
企画:大坂紘一郎 (ASAKUSAディレクター) 上田剛史 (TALION GALLERY ディレクター)
協力:青山|目黒
ウェブ:https://taliongallery.com/

関連パフォーマンス
タイトル:listening stones making landscapes
アーティスト:ミハイル・カリキス&マルアン・シパート
日時:2023年10月8日(日) 17時〜18時(パフォーマンス時間:約45分)
会場 : アサクサ 東京都台東区西浅草1-6-16
* 特にご予約は必要ありません。
* パフォーマンス中は、展覧会をご覧いただけませんので、予めご了承ください。

関連ウェブサイト
本オンラインプログラムでは、香港Parasite レジデンシーでの展示をオンラインで再現し、鎌倉在住の作曲家で美学者のダリル・ゼミソンが草木成仏の観点から、香港のジョナサン・ホフマ ンが仏教学者の視点から、仏教環境活動家としての呪殺祈祷僧団の側面を解説します。
会場:0-eA(オンライン)
主催:サードリサーチラボ
協力:ASAKUSA
メディアパートナー:0-eA

こちらのリンクから、映像プログラムが開始します。
https://0-ea.art/journeys/AjoNh/eXf.html
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