(それほどまでには) 統治されないための芸術

アサクサエンターテイメンツ
2018年9月22日(土)〜9月24日(月・祝) 12:00〜19:00
キュレーション:アサクサ
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、公益財団法人 朝日新聞文化財団

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アサクサは、浅草地区の近隣住人と国内外から訪れる観光客を招き、現代アートによる知と権力への批判について考察する上映祭『(それほどまでには)統治されないための芸術』を開催いたします。

批判は知恵の役割をはたそうとするが、その法則を定める能力に欠けています。...しかし、私が注意したいのは、批判にはそれ自身が有用であろうとするぎこちなさが含まれているということです。こうした批判は、たんに特定の過ちをとりのぞくためというよりも、より一般的な要請によって動機づけられているように思うのです。それは、いわば〈徳〉と呼ぶにふさわしい何かなのです。——
講演録「批判とは何か」(1978年)を着想源に、ミシェル・フーコーの語り声を呼び覚ます本展は、異なる視点から急進的な表明を行うアーティスト——ポーリン・ボードリ/レナーテ・ロレンツ、ハース・ハーケ、草間彌生、ミヌク・イム、ジョシュア・オコン、ジェイコルビ・サッターホワット、ヒト・シュタイエル、ミン・ウォン——の作品や参照資料を上映します。知と権力のパラダイムにおいて、現代アートはいかなる機能を持ちえるのか?フーコーの語りとともに、アート史における制度批判、狂気、クイア、ポストコロニアル、脱中心化の言説に触れる本企画は、今日の文化生産における批判戦略を考察し、これを見定め促進することを目指しています。

作品制作と批評の包括的なプログラムとして構成される本プログラムでは、アサクサの招聘により来日したアーティストの作品制作プロジェクトが合わせて紹介されます。環境問題に対する危機感さえもが、グローバルガバナンスの経済戦略のうちに管理されていることを指摘するジョシュア・オコン (1970年、メキシコシティ)は、東京湾に浮かぶ広大な埋立地の大自然を映し出すネーチャードキュメンタリーを制作。ドイツ民謡でクリスマスキャロルとしても耳馴染みのある《もみの木の歌》が、時代の変遷と共に《赤旗の歌》へ変わり、世界に伝播し、受容された過程を調査する ミヌク・イム (1968年、大田広域市)は、皇居周辺において、時代の不協和音と思想の「亡霊」を結びつけるパフォーマンスを実施します。また、大衆映画に埋め込まれたジェンダー、民族、文化的コードを撹拌するパフォーマティブな作品で知られるミン・ウォン (1971、シンガポール生まれ)は、新作制作に向け、日活ロマンポルノ(1971-1988)に関する調査のために来日し、9月22日に実施されるアーティストトークのゲストとして、イム氏とともに登壇します。

また、特設会場にて開催される本イベントと並行し、アサクサ(台東区西浅草1-6-16)では、ジェイコルビ・サッターホワイト(1986年、サウス・カロライナ州コロンビア)の個展『ジェイコルビ・サッターホワイト&男色:イロモノボンデージ』を開催中です。抑圧した意識を解き放つ過剰なまでのデジタルシュールレアリスム——精神分裂病の母親によって残された幾千のドローイングや奇怪なテキスト、謎めいた家庭用品や華美な製品の数々を投影し、浮遊した建築物やゲイクラブで戯れる人々や自らのパフォーマンスなど、現実と幻視のコラージュがユートピア空間を創造しています。また、サッターホワイトの作品への参照点として、中世僧院における僧侶と稚児の交わりを記した鎌倉時代の絵巻《稚児之草紙》(1321年、京都醍醐寺三宝院 蔵、展示は複製)が合わせて展示され、少年期における逃れえない状況や制度への順応をめぐり、歴史を通じて歪み隠匿された力の体系を示唆しています。

皆様のお越しをお待ち致しております。

[企画概要]



上映祭
アサクサエンターテイメンツ

『(それほどまでには)統治されないための芸術』

2018年9月22日[土]〜24[月・祝]

3日間連続開催 12:00〜19:00

会場:東京都台東区寿2-10-16 1階(特設会場)

協力:ポーリン・ボードリ/レナーテ・ロレンツ、ハンス・ハーケ、草間彌生、ミヌク・イム、ジョシュア・オコン、ジェイコルビ・サッターホワイト、ヒト・シュタイエル、ミン・ウォン



アーティストトーク



ゲスト:ミヌク・イム 、ミン・ウォン
2018年9月22日[土] 16:00 - 19:00


会場:東京都台東区寿2-10-16 1階(特設会場)

定員40名 予約はこちらから

展覧会
『ジェイコルビ・サッターホワイト x 男色:イロモノボンデージ』


2018年9月1日[土]〜24日[月・祝]
土・日・月・祝 12:00〜19:00 



会場:東京都台東区西浅草1-6-16(アサクサ)



パフォーマンス


『ミヌク・イム:もみの木の歌』


2018年9月30日[日]


*ホームページ上でストリーム配信予定
http://ux.nu/NvYNq



展覧会





『ジョシュア・オコン個展』



2018年10月20日[土]〜11月18日[月]




土・日・月・祝 12:00〜19:00


会場:東京都台東区西浅草1-6-16



(アサクサ)





プログラム詳細はこちら:www.asakusa-o.com







企画:アサクサ



助成: 公益財団法人東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京、公益財団法人朝日新聞文化財団、FONCA



協力: ジェイミー・マリー・デイヴィス、宮津大輔、オオタファインアーツ、SPoN!



画像: ジェイコルビ・サッターホワイト 《アヴェニューB(男色)》 2018年

助成団体

イロモノボンデージ

ジェイコルビ・サッターホワイト&男色

2018年9月1日(土)〜9月24日(月・祝)
キュレーション:アサクサ
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、公益財団法人 朝日新聞文化財団

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私は精神病患者のもとに生まれ育ち、14歳年上の同性愛者の兄2人に連れられ、13歳からナイトライフと深い関わりを持ってきました。 だから私はこの銀河のような3Dフィルムを作ったのです。 それは、私に安全を感じさせてくれた空間への比喩であり、自分が外部化された存在であることを教えてくれます。——作家談

アサクサは、ニューヨーク在住のアーティスト ジェイコルビ・サッターホワイト(Jacolby Satterwhite: 1986年サウス・カロライナ州コロンビア生まれ)の個展『イロモノボンデージ』を開催いたします。

母が精神病棟に残した何千ものドローイングと録音テープ、ゲイクラブで踊る自身の裸体やボンデージ姿の調教シーンなど、自らを取り巻く現実の断片を張り合わせた3Dアニメーションで知られるサッターホワイト。無差別な愛情に動かされた放蕩なポルノグラフィーは、決してたどり着けないユートピアへの郷愁をまといつつ、機械仕掛けのように終わりなく反復し続けます。人種、ジェンダー、精神状態など、あらゆるマジョリティーからの逸脱や外部性が、日常の言語を超えた幻視的なビジョンによって増幅する映像群——それは、莫大な想像力を解き放ち、母子の関係を無意識の世界において繋ぎ止めるデジタルシュールレアリスムとなって、サッターホワイトのクイアな人生を航海します。

本展の中心となる新作3Dフィルム《アヴェニューB》(2018年)は、亡き母パトリシア・サッターホワイトが歌うゴスペルソングとともに、サッターホワイトの黒い裸体が吊り下げられる秘教的な儀式に始まります。やがてBGMが90年代トップチャートを思わせる選曲に変わると、ダンスを踊る人々も重力から解放されて浮遊するデジタルアバターとなり、クローンのように増幅し拡散していきます。「仮想世界に身を置くことは、政治的なジェスチャー」と語るように、アフロ未来主義の脱走を呼び起こすかのようなバーチャルリアリティ、不可能な角度で回り続けるカメラワーク、政治的な表象としての自らの身体と母子の関係が幾重にも折り重なっていきます。生命の誕生と消滅、労働や性愛における主従関係、人種や階級などを連想させる目まぐるしいイメージの過剰生産——。その個々の要素が、魔術的リアリズム、サイケデリック、アウトサイダー・アートの歴史的な言説と交わることで、豊潤な関係を生み出しています。

合わせて展示されているのは、中世僧院における僧侶と稚児の関わりを記した鎌倉時代の絵巻、《稚児之草紙》(1321年、京都醍醐寺三宝院 蔵、展示は複製)です。この文献には、13〜14歳の少年が当時どのような手順を経て、僧侶との性交に順応していたのかが具体的に記述されています。
初の性交となる灌頂(かんじょう)の儀式が終わると、稚児は神仏の化身として扱われると同時に、僧侶への服従を要求される受動的な存在となります。こうした風習は、僧院のみならず公家、武家、歌舞伎界、江戸中期においてはさらに世俗化して陰間茶屋などで広まっていきます。サッターホワイト作品に呼応した本展が主題とするのは、少年期における逃れえない状況や制度への順応をめぐる考察です。そこにはまた、集団が個に及ぼすマクロ的視点——男色と有色人種を含意する「色物」(coloured)と、主従関係や絆の意味を持つ「ボンデージ」(bondage)の2つの意味——が相関し、歴史を通じて歪み隠匿された力の体系を示唆しています。

『イロモノボンデージ:ジェイコルビ・サッターホワイト x 男色』は、ミシェル・フーコーの講演録「批判とはなにか」(1978年)をもとに、現代アートによる知の権力への批判を公に差し出す上映祭「アサクサエンターテイメンツ」の一環としてキュレーションされています。本展は、アーツカウンシル東京、および朝日新聞文化財団の助成を受けています。

サッターホワイト作品の一部はこちらから視聴できます。
Vimeo | https://vimeo.com/user2947668
SoundCloud | Blessed Avenue by PAT, Patricia Satterwhite, Jacolby Jacolby Satterwhite, Nick Weiss, 2016

展覧会情報

タイトル: 『イロモノボンデージ』
作家名: ジェイコルビ・サッターホワイト x 男色
キュレーション: アサクサ
助成: アーツカウンシル東京、朝日新聞文化財団

会期: 2018年9月1日(土)〜24日(月・祝)
会場 : アサクサ
住所: 東京都台東区西浅草1-6-16
開廊: 土・日・月・祝 12:00〜19:00

事業後援団体