架空の人物やグループによる虚構の事件や出来事を、ドキュメンタリー風に表現するモキュメンタリー映像作品を多数手がける台北出身のマルチメディア・アーティストユ・チェンタは、まるでリアリティ番組のような独自の手法を通して、日常生活のドラマを浮かび上がらせる「生活劇場」を東南アジア各都市のストリートを舞台に作り出してきました。そんなユ・チェンタが次に目を向けたのは「東洋一の歓楽街」歌舞伎町です。リサーチのために来日中のアーティストを招き、2018年にパリのポンピドゥー・センターとコペンハーゲンのKunsthal Charlottenborgで発表された《Tell Me What You Want》（2015-2017）の特別上映とトークを実施いたします。一晩限りの真夏の夢をぜひお楽しみください。

ユ・チェンタ (1983年生まれ) は、台湾出身のマルチメディア・アーティスト。被写体や鑑賞者と遊び心を持って言葉を交わし、意図的に現実の状況を撮影シーンとして設定する「生活劇場」をコンセプトとした作品を多く発表している。2008年に台北芸術大賞を受賞、第6回台北ビエンナーレ参加、2009年には第53回ヴェネツィア・ビエンナーレ台湾館で展示を行った。あいちトリエンナーレ、パフォーマビエンナーレ、上海ビエンナーレ、台北ビエンナーレ、ベルリン国際映画祭、メルボルン国際メディアアートビエンナーレ、アジアンアートビエンナーレなど多数の国際芸術祭に参加。またシンガポールのアーティスト、ミン・ウォンと「ウォーターメロン・シスターズ」として活動するほか、「アジアン・ドリアン・タイクーン：FAMEME」という架空のキャラクターを創作し、デュアル・アイデンティティを基盤に、分野横断的なアート活動を精力的に展開する。